Nellcor Puritan Bennett
Knight Star 330,Good Knight 425
1.特徴(図;Kight Star 330の外観写真Good Knight 425の外観写真)
 BiPAPに代表される低侵襲性の呼吸補助法は、当初は睡眠時無呼吸症候群の治療を目的としていたが、その後臨床応用が拡大され、在宅人工呼吸療法や慢性呼吸不全だけでなく急性呼吸不全の分野まで拡大されつつある。現在ではBi-Level呼吸療法として確立され、各社より続々とBi-Level装置が開発されている。以前は各社ともピーク流量やレスポンスを競っていたが、最近は小型化、軽量化、低消費電力化へシフトしている。1,000g以下の機種はざらである。入眠後に徐々に圧が設定値まで上がるディレー機能も装備されている。2007年をもってKnight Star 330は製造終了し、以降はGood Knight 425になる。Good Knight 425はさらに小型軽量化されている。
2.性能
       Knight Star 330        Good Knight 425
 モード..........CPAP I/E PAP A/C     I/E PAP
 IPAP..............3-30 H2O          3-25 cmH2O
 EPAP.............3-20 H2O          3-20 cmH2O
 流量...............
 呼吸回数.......3-30BPM
 I:E比.............1:1.0〜1:4.0
 ディレー.......0-30分
 RAMP...........1,2 or 3pH2O/ 分(ディレー終了後I/E PAP圧はRAMPの設定どおりに設       定値まで徐々に上昇する圧上昇速度)
 
 バッテリー作動...DC12V,6A         DC12V
 重量...............1.21 Kg            780g
消費電力......... AC100-240V,140W       AC100-240V,40W
 
3.機構の概略
1)構造(図;Kight Star 330のシステムブロック図図;Kight Star 330の分解構造図 、図;Knight Star 335のニューマティック;Knight Star 335は現在販売されていないが、最大流量とレスポンスなどジェネレーターとしての性能を追求した設計なので、参考にまでに掲載しておく。ブロアーとアクチュエーターの組み合わせが斬新であった。)
 ニューマティック回路は単純で、ブロアーとアクチュエーター(rotary actuator)とフローセンサーより成り立つ。外気は消音器(Baffle)とフィルターを経てブロアーに入る。ブロアーはブラシレスDCモーターにより駆動される。KnightStar335のモーターの能力は255LPM(at 45pH2O)以上の流量を発生できる。モーターの回転数はIPAPの設定に基づいて決まる。アクチュエーターには2つのバタフライバルブがあり、これらは同じ軸に付いている。軸の回転により一方が開くと他方は閉じるよう角度設定されているので、軸の回転角度によりI/E PAP圧を調節できる。軸角度は、設定圧と実測圧との誤差情報によりサーボ制御して補正している。Knight Star 330では小型化のためアクチュエーターは省かれている。圧スイッチ(pressure switch)は50pH2O以上の異常圧になると開き、同時にブロアーは停止し、機械はInop.状態になる。ガス流量の計測はパイロットチューブの両端の圧差を測定して行う。EPAPの設定が5pH2O以下の場合にはCO2の再呼吸が多い。
Nasal Mask
 
 Purge Hole Flow(LPM)
  at 3pH2O
Purge Hole Flow(LPM)
  at 14pH2O
ADAM     14     24
Sullivan     26     51
SoftFit     22     45
Companion     20     39
 
2)I/E PAP
 NightStarがI/E PAPと表現するモードは、通常のPSVに類似の換気モードである。IPAP, EPAPの開始はそれぞれ、吸気と呼気の開始に同調する。トリガー方式やレベルは不明である。トリガー感度は3段階で調節できる。
2)デフォルト
 患者の呼吸を検知できないときに自動的にIPAPもしくはEPAP圧に自動的にセットされる機能をそれぞれIPAPデフォルト、EPAPデフォルトと呼ぶ。EPAP時に吸気が平均呼気時間プラス5秒、もしくはIPAP時に呼気が平均吸気時間プラス5秒の間に検出できなれば、自動的にIPAP or EPAP設定圧で固定される。ただし最大20pH2Oの圧に制限される。再び吸気を認識すれば元の動作に復帰する。IPAP or EPAPデフォルトのいずれを使うかはコントロールパネルのデフォルトで選択する。これは閉塞性睡眠時無呼吸の状態を想定したものなので、これが適さない場合はA/Cモードを利用する。
3)A/C
 設定I:E比、設定圧で換気が行われるモードである。設定した呼吸回数以下になれば設定呼吸回数が維持される。この場合にはCONTROLの表示が点灯する。つまり、通常のPCVに類似の換気モードである。
4)モニター機能
 Vt(推定一回換気量),Vpi(推定ピーク吸気流速),LEAK(マスクでの推定リーク量),RR,I:Eを数値表示できるが推定値は最大25%程度の誤差がある。アナログ出力より一回換気量、吸気・呼気ガス流速、気道圧を出力できる。
 
4.操作(図;Kight Star 330の操作パネル)(図;Kight Star 330 Esensの効果:Esensを変化させると図のように吸気終了条件が変わる)(図;Kight Star 330 Rise Timeの効果:Rise Timeを変化させると吸気ガス流量の立ち上がり時間が変化する)
 操作は簡単で、まずモードボタンを繰り返して押して希望のモードが表示されるようにする。次にセットボタンを繰り返して押して設定項目を選択し、▲▼ボタンを押して数値を入力する。酸素はアダプターを介して患者回路やマスクに添加する。酸素流量は15LPM以下にする。酸素濃度はリーク量や分時換気量で変動するので正確な酸素濃度は設定できない。
5.アラーム
 電源、無呼吸、装置不良状態、マスクリーク等のアラームが設けられている。
6.メンテナンス
 空気取り入れ口のフィルター(Inlet Air Filter)は週に一回以上洗浄する。回路フィルター(Outlet Air Filter)は少なくとも月に一回は交換する。患者回路は適宜交換する。
患者回路は図のように接続する。(図;Kight Star 330 患者回路の接続