Respironics
BiPAP Harmoney
1.特徴(図;BiPAP Harmonyの外観写真)
 BiPAP HarmoneyはBiPAP Harmony S/Tの後継機にある。Bi-Flexとsmart cardに対応しているのが差である。Bi-Flexとは吸気の後半と呼気の初期段階に圧力を下げて患者の快適性を改善する機能である。
2.性能
 モード...............................CPAP,S,S/T
 一回換気量.......................N/A
 吸気ガス流量...................〜 LPM
 呼吸回数............................0〜30BPM
 吸気時間............................0.5〜3.0 sec.
 EPAP...................................4〜25pH2O
 IPAP....................................4〜30pH2O
 CPAP...................................4〜25pH2O
 重量....................................1.8 Kg
 消費電力............................AC100~240v,1.25A max., DC 12v 3A max.
 バッテリー作動時間........内蔵していない。ACアダプターが付属。
 
3.機構の概略
 他のBiPAPシリーズとほぼ同じである。
1)リーク量の推定
 リーク補正機能には平均値より推定する方法と放物線アルゴリズムが応用されている。平均値推測はIPAP中のリーク量の平均値とEPAP中のリーク量の平均値より2点の基準点を求める。リーク量は圧の二乗に比例するので、2点間を通る放物線を決定すれば、気道圧によるリーク量を推定できる。
2)トリガー感度
 6mlのボリュームトリガー方式である。
3)吸気の終了認識条件
 shape signal とSETが用いられている。(詳細はBiPAP Visionの項の解説を参照)最大IPAP時間は3秒である。フローリバーサルと呼ばれる機能も使われている。IPAP中にフローが平均値を逸脱して急激に増加した場合吸気を終了させる。
4.操作(図;BiPAP Harmonyの操作パネル)
1)アクセスレベル
 患者用のユーザーモードと医療従事者モードがある。ユーザーモードではFlex設定、ライズタイムの設定、ランプ開始時の圧の設定、LEDバックライトの設定しか表示されない。医療従事者モードでは全メニュー項目が表示され、これらを設定することができる。
2)基本操作
 右ユーザーボタンとアラーム消音ボタンを2秒以上押し続けると一時的に医療従事者モードになる。右ユーザーボタンと左ユーザーボタンを押して順次、設定画面を選択していく。右ボタンを押すと次の設定画面になり、左のボタンを押すと前の設定画面に戻る。設定画面内では加温加湿ボタンとランプボタンがそれぞれ、上・下の選択ボタンになる。これらのボタンを使用して数値を増減したり、モードを選択したりする。アクセスレベルを設定することで
3)メニュー構造(図;設定画面の操作メニュー構造
 設定画面は次の順で用意されている。モード,CPAP,IPAP,EPAP,呼吸回数,吸気時間,Flex,ランプ時間,ランプ開始圧,ライズタイム,無呼吸アラーム,患者回路はずれアラーム,治療開始メーターのリセット,LEDバックライト,アクセスレベル。
 
IPAP圧とEPAP圧を設定すれば利用できる。呼吸停止に備えてバックアップ回数と吸気時間Tiを設定する。必要に応じてライズタイムを調節する。
バックアップ回数と吸気時間は不用意に患者が変更しないように通常はカバーで覆われている。
4)Bi-Flex(図;Bi-Flexの解説
 Bi-Flexとは吸気の後半と呼気の初期段階に圧力を下げて患者の快適性を改善する機能である。レベル1~3で選択できる。数値が大きいほど圧リリーフの程度が大きくなる。
5)ランプ(図;ランプの解説
 ランプボタンを押すと換気圧が下がり、ランプ時間をかけて、徐々に圧が上昇していき、快適に入眠できるようにする機能である。
6)スマートカード
 スマートカードを装着しておいて患者データーを経時的に取り込んでおくと、のちにカードリーダーよりWindows PCに読み込んで表示することができる。逆にスマートカードに設定を入力しておいてBiPAP Harmonyに設定を読み込ませることもできる。
5.モニター、アラーム
 電力消失、圧低下、圧上昇、患者回路のはずれ、無呼吸、システムエラー、などのアラームが装備されている。
6.メンテナンス
 空気取り入れ口のフィルターは定期的に洗浄・交換をする。定期的に機能チェックを行う。定期的に保守点検をする。
7.欠点
1)メニュー構造が複雑なので、最初に設定する際にボタンを多く押す操作が必要で煩わしい。
2)バッテリーが内蔵されていない。その分、軽量ではあるが。