42.ResMed
NIP Nasal(VPAP II ST)
1.特徴(図III-42-1)
 低侵襲性人工呼吸法は、この数年もっとも注目を浴びている人工呼吸療法であり、多くのメーカーが参入している。オーストラリアResMed社製のこの人工呼吸器は、帝人により、帝人製の日本人向けの鼻マスクと組み合わせて販売される。日本仕様はNIP nasalの登録商標になるが、VPAP II ST と基本的には同じである。NIP Nasalは専用のコントローラーUCU1がなければ設定内容を変更できない。VPAP II STは裏画面に入れば本体のみで設定変更が可能である。いずれにせよ、小型軽量を特徴とし他社製品と比較してもかなり軽量である。BiPAPはリークを前提としたシステムであったが、ResMedの製品はマスクリークには寛容でない。マスクリークは吸気終了認識を誤らせるので、BiPAPよりマスクフィッテイングを入念に行う必要がある。また、マスクリークに備えて最大吸気時間を適切に設定することが肝要である。したがって、マスクフィッテイングは重要でその意味でも日本人仕様のマスクが必須である。
2.性能
 モード...............................CPAP, S, T ,S/T
 一回換気量.......................N/A
 吸気ガス流量...................150 LPM 以上
 呼吸回数............................5〜30BPM
 吸気時間............................0.2〜10.8 sec.
 EPAP...................................2〜25pH2O
 IPAP....................................2〜25pH2O
 重量....................................3.5 Kg
 消費電力............................AC110-240 v, 50-60Hz, 200VA
3.機構の概略(図III-42-2)
 機構の詳細については全く公表されていない。BiPAPではブロアーの回転数は一定でバルブでのリリーフ量によって吸気ガス流量を調整するが、ResMedではモーターの回転数を変化させて吸気ガス流量を調整する。この方式では駆動系の慣性モーメントによるレスポンスの遅れが危惧されるが、社内資料によると遜色がないというより、かなり優秀のようである。ただし、残念ながらこれらのデーターは公開されていない。
4.操作(図III-40-3a、3d)
 患者が操作できるのは電源ON/OFFとディレータイマーだけである。ディレータイマーを押すと、5, 10, 15分かけてゆっくり換気圧が設定圧まで上昇するので、患者が受ける圧迫感を低減できる。
 NIP Nasalでは、設定を変更するには専用コントローラーUCU1を使用する(図III-40-3b)。VPAP II では、設定画面にアクセスすると本体だけでも設定変更ができる。設定画面には右側の3つのボタンを押しながら電源をONにするとアクセスできる(図III-40-3c)。次にMENU△▽ボタンを用いて設定項目を順次選択する。設定値を変更するにはOPTION△▽ボタンを押して数値、ON/OFF、などを入力する。在宅で使用するには、事故を防ぐために設定をロックする必要がある。ロックするには、MENUでPATIENT MODEを選択し、OPTION△を押してYESを入力する。ARE YOU SUREと聞き返してくるので再びOPTION△を押してYESを入力して確定する。
 患者との同期がうまくいかないときには、まず、マスクフィッティングを調節してみる。さらに、マスクの形状を変えたり、バンド(chin strap)を用いるとマスクリークが減少して解決することもある。Maximum IPAP time(最長IPAP時間)を適切な値に設定すると呼気との同期不全を誤魔化せるかもしれない。
5.モニター、アラーム
 換気回数、1回換気量、リーク量、気道圧をMENUで表示できる。アラーム機能はない。
6.メンテナンス
 日常的にマスクとチューブを点検、清掃、滅菌する。6ヶ月ごとにエアーフィルターを交換する。
7.欠点
1)BiPAPと比較するとマスクでのリークが作動に影響しやすい。
2)機構についてささいなことまで公表しないメーカーの姿勢はあまりにも商業的である。
 
図III-42-1      NIP Nasal外観
 NIP nasal本体に専用条件設定器UCU1が接続されている。
図III-42-2      NIP Nasal機構
モーターの回転数が変化してIPAPとEPAPを調整する。
図III-42-3a      NIP Nasalの操作パネル
患者が操作できるのは、電源のON/OFFとディレー時間だけである。
図III-42-3b      UCU1の操作パネル
メニューキーとオプションキーを用いて設定する。
図III-42-3c      VPAP IIの設定画面の入り方
図III-42-3d      VPAP IIの操作パネル