43.Respironics
BiPAP Harmoney S/T
1.特徴(図III-43-1)
 Harmoney S/TはBiPAPシリーズの改良版であるが、交直両用の電源が利用できるようになり、在宅用人工呼吸器としての用途も期待される。従来のBiPAP S/Tと比較するとライズタイム調整ができるようになったのと軽量化されたのが改良点である。モードはS/Tのみと簡素化された。ブロアー駆動モーターは、ACモーターより非力なDCモーターに変更されたので、最大流量は若干少なくなった。モードはS/Tという圧換気モードだけである。軽量化のため内部バッテリーも設けられていないが、オプションで専用外部バッテリーを装着できる。総合的に評価すれば、在宅用人工呼吸器としては症例を選ぶが、Auto-Trak Sensitivityによる優秀なトリガー機構と20msec.の早い応答時間により自発呼吸がしっかりしている患者には快適な使用感を提供できる。こうした特性に合致した患者には、簡易、安価、高応答性の快適な人工呼吸器である。
2.性能
 モード...............................S/T
 一回換気量.......................N/A
 吸気ガス流量...................〜 LPM
 呼吸回数............................4〜30BPM
 吸気時間............................0.5〜3.0 sec.
 EPAP...................................4〜15pH2O
 IPAP....................................4〜30pH2O
 重量....................................2.6 Kg
 消費電力............................AC100v 1.25A max., DC 11-17v 5.5A max.
 バッテリー作動時間........内部 内蔵していない
            外部 PC3100 約3〜4時間                               PC6100 約6〜8時間
3.機構の概略(図III-43-2)
 ブロアーの駆動にDCモーターを使用していること以外は、BiPAP S/Tとほとんど同じである。
4.操作(図III-43-3)
 IPAP圧とEPAP圧を設定すれば利用できる。呼吸停止に備えてバックアップ回数と吸気時間Tiを設定する。必要に応じてライズタイムを調節する。
バックアップ回数と吸気時間は不用意に患者が変更しないように通常はカバーで覆われている。
5.モニター、アラーム
 電力消失、供給圧低下、供給圧上昇、患者回路のはずれ、の4つのアラームが装備されている。
6.メンテナンス
 定期的に機能チェックを行う。3ヶ月ごとに内蔵電池を充電する。定期的に保守点検をする。
7.欠点
 NIPPV用と在宅用を一つの人工呼吸器で兼用するのは、一見便利であるが、やや中途半端である。在宅用であれば、バッテリーを内蔵するのと確実なアラーム機構は必須である。
 
 
図III-43-1     Harmoney外観
図III-43-2     Harmoney構造
図III-43-3     Harmoney操作パネル