Smith Medical
VR-1
1.特徴図;VR-1の外観写真)(
 VR-1は緊急用および搬送用のフロージェネレーター方式の肺換気装置(蘇生器?)で、3テラのMRI環境下でも使用可能である。
2.性能
 モード............CMV/Demand(synchronized Minimum Mandatory Ventilation),
 酸素濃度..........50%(Air Mix時),100%(No Air Mix時)
 一回換気量と換気回数........150ml/25BPM -1050ml/10bpm
(1回換気量と換気回数は独立して個別に調節できない)
 I:E比.............1:2 固定
 ディマンドフロー..120LPM (-8pH2O時)
 ガス消費量.........................分時換気量+40 ml x RR
          (エアミックス時には分時換気量の40% + 40 ml x RR)
 重量..............0.440 Kg
 消費電力..........なし
                                      
3.機構の概略
1)ニューマティック回路図(図;ニューマティック回路図
 100% O2 はレギュレータとフィルタを通り、約276kPa に減圧される。酸素は次の5 つの経路に分かれる。
(1)オシレータ(換気サイクルを作る空圧式タイミング装置)
(2)モメンタリーバルブ(手動バルブ)
(3)ディマンドバルブ(患者が自発呼吸を開始した場合、オシレータを休止する)
(4)ディマンド検出器
(5)自発呼吸バルブ(酸素が供給されない場合、自発呼吸バルブが開き、患者が空気を取り込めるようにする)
 モメンタリーバルブは手動換気時に吸気ガスを発生させる。双方向バルブをONにして酸素が制限器に流れ、患者ダンプバルブを閉る。制限器Aは、連続可変流量制限器で、オシレータがチャージされる頻度を決定する。オシレータが閉じるまでオシレータ機構に圧力が掛けられ、それによって吸気相が終了する。エアミックススイッチが開いている場合は制限器B を通して患者バルブにも酸素が送られる。閉じている場合は、制限器B から制限器C へ酸素が流れる。スイッチが閉じている場合は、酸素が患者バルブから患者に送られる前に、外気取り入れ口から取り入れられた空気と混合される。これらの制限器は吸気流量と一回換気量を制御する。ロータリーコントロールの位置で、本装置の1回換気量と1分間あたりの呼吸回数を決定し、同時に3つの制限器の位置を選択する。吸気相が完了すると、回路内の酸素が制限器Aを通って、送気口に送られ、患者ダンプバルブを開放する。その結果、圧はダンプパルプのポートを介して大気中に急速に発散される。オシレータの圧は、呼気時間を制御するために、制手動モードでは、吸気時間はプッシュボタンが押し下げられている間は、ロータリーコントロールで選択された既定の換気まで継続する。オシレータが閉じる前にモメンタリーバルブが開放された場合は、さらに手動呼吸が可能になる。ただし、一度手動呼吸によりオシレータを閉じたら、オシレータ機構が完全に戻るまで回路は「ロックアウト」する。自動モードでは、ロータリーロックにより、プッシュボタンが押された状態でロックされる。患者は、ディマンド機能により、随時必要な酸素を吸える。自発呼吸が適正レベル(120L/分以上)に達すると、サイクルは休止する。患者回路の最大圧を制限するために、あらかじめ設定された圧に達したら、余剰ガスを外気に排出し、同時にアラーム音を鳴らすリリーフバルブを備えている。機器停止時には自発呼吸バルブより患者が外気を吸気できる。
4.操作(図;操作パネル)
 手動モードでは吸気の間だけ、間欠的に吸気ボタンを押す。自動モードでは自発呼吸があれば、これに同期して、なければ自動的に調節呼吸が送られる。1回換気量と換気回数は個別に設定できず、患者の体格によって1回換気量が大きい・換気回数が少ない設定から(1050ml・10bpm)、1回換気量が少ない・換気回数が多い設定(150ml・25bpm)までの範囲で選択するだけの単純な機構になっている。通常の成人では500ml・12bpm前後を選択する。必要があればエアミックスを選択する。酸素濃度は必ずしも50%にならない。およそ50%程度に希釈されているくらいの意味である。
5.モニター、アラーム
 気道内圧が40mbarくらいより高くなるとリリーフされてアラ−ムが鳴る。それ以外の警報やモニターはないので、使用中は患者の呼吸状態を常時をしっかり観察を行う。
6.メンテナンス
 年に1回は定期的に機能チェックを行う。患者回路・呼気弁は適宜点検・交換する。
7.欠点
 これは仕様であり欠点ではないが、注意点として記載すると、VR-1はとても簡単かつ安易な機械である。これは蘇生器の一種であり、人工呼吸器ではないので、当然の事として、人工呼吸器としての仕様を満たさない。常時患者サイドにいて、患者の呼吸を継続的に観察して即座に必要な対策をしないと患者が死亡する危険性がある。