ResMed Australia
VPAP Adapt SV,Auto Set CS2
1.特徴(図;VPAP Adapt SVの外観
 1989年創業のResMed社はオーストラリアのシドニーに本拠地に置く、睡眠時呼吸障害の治療器メーカーのパイオニアである。VPAP Adapt SV(国内ではAuto Set CSとも呼ばれている)は本来、OSA(閉塞性睡眠時無呼吸)治療器として、設計されているので、生命維持装置としての目的には使用できない。最近、本邦では、ASV(Adaptive Servo Ventilation)はOSAの治療目的以上に心不全の治療器として注目を集めている(海外の評価はあくまでもOSAが主である)。ASVにより心臓の前負荷と高負荷を軽減するなど、心不全の非薬物療法として有効と評価されている(図;心不全におけるASVの作用機序:木原康樹,日系メディカル2012年7月)。VPAP Adapt SVは電源が途絶えると作動は停止するので留意が必要である。ちなみにResMed社のラインアップには、PSVデバイスのSteller150(テイジン扱い)、換気デバイスのクリーンエアシリーズ、ASVデバイスのVPAPアダプトがあるが、Stella150以外はフクダライフテック扱いになる。
2.性能
 モード................................ASV-CS,CPAP
 CPAP...................................4-13cmH2O
 PEEP....................................4.0-10.0cmH2O
 PSV.....................................PSmin3.0-6.0、PSmax8-16cmH2O、絶対圧で20cmH2O未満
 重量....................................3.7Kg(HumidAire込みで)
 消費電力............................AC100-120,220-240 v, 50-60Hz, 60VA
 外部電源............................DC12-13.8v(専用アダプター使用時)
 
3.機構の概略
 例によってResMed社は機構やソフトウエアについては全く公表していない(図:VPAP Adapt SVの機構概略図:ハードウエア的には一般的なBiPAP機の構造と類似である)。ResMedではlow inersiaと呼ぶモーターの回転数を変化させて吸気ガス圧を調整しているが、ASVにはOcean Waveと呼ばれるIPAP波形に特徴があり(図;Ocean Wave波形の説明:一般的なPSVの波形に比較するとRise Timeをゆっくり設定してある。またIPAP→EPAPの圧変化も穏やかな変化になっている。この変化は意図的なソフトウエア上の調整の結果で、単にハードウエアの応答性が遅いのが原因ではないようである。)、IPAP圧(PSV圧)と圧パターンを設定範囲内で自動的に調節している。しかしASVが具体的にどういうアルゴリズムで作動しているかは全く公表されていない。ブレスバイブレスで先行換気のパターンに次の換気が似るように次のIPAP波形を自動調節しているらしい。IPAP圧の調節は、おそらくVSに類似の動作をしていると思われる。先行3分間の分時換気量の90%値を目標分時換気量にして、これを実測呼吸回数で除した値を目標1回換気量にし、これを維持する圧にIPAP圧を自動調節していると思うが、推定の域をでない。
4.操作(図;操作パネル)
1)医療者モード
 電源スイッチは装置背面にある。電源投入後に右ボタンと上下ボタンのいずれかを同時に3秒以上押し続けると医療者モードに入る(図;治療画面表示例)。メニュー構造は図のとおりである(図;メニュー構造)。デフォルトではPSmin3.0cmH2O・PSmax10.0cmH2Oの設定でASV-CSモードが起動する。必要があればPSminとPSmaxを設定するが通常はデフォルト値で良い。
2)患者モードではSTART/STOPとRampのみ操作ができる。患者回路は図に示した(図;患者回路)。
5.モニター、アラーム
 アラームには、低圧、高圧、高回路平均圧、高リーク、サポート圧力不足、フローブロック、などがある。SmartMediaカードにイベント情報など情報の内容を書き込むことができる。
6.メンテナンス
 日常的にマスクとチューブを点検、洗浄する。6ヶ月ごとにエアーフィルターを交換する。5年に1回は定期点検を受ける。
7.欠点
 ASVがどういうアルゴリズムで動いているか、全く資料が提供されず、完全にブラックボックスである。しかしRespironics社のこうした姿勢は臨床サイドとして許容すべきではないと思う。医療サイドは単にスイッチを入れるだけである。こういうメーカーの姿勢が許容されるのなら、例えば学会でA大学が我々の手術術式は優れていて治療成績にはx%の効果がある。しかし具体的な手術術式は企業秘密なので公表しないと言っているようなものである。