France Air Liquide Medical Systems
MONNAL T50
1.特徴(図;Monnal T50の外観写真)
 MONNAL T50は体重5kg以上の小児から成人を対象にした院内・在宅用のタービン式の人工呼吸器である。患者回路はシングル・ダブル対応で、当然NIVも可能である。院内用と在宅用では操作画面の構成が全く変わる。内蔵バッテリーで3-6時間程度駆動できる。
2.性能
 モード    VCV/AVCV、SIMV、PSV、PCV/APCV
 最大流量   150 LPM
 吸気圧    50 pH2O
 PEEP     0-20pH2O
 呼吸回数   60BPM
 ディスプレー.....3波形同時表示、データー表示
 ガス消費量  分時換気量+4LPM
 重量2Kg
 サイズ250*150*34mm
 外部電源DC10-26v max10A
 
3.機構の概略
1)構成(Monnal T50のニューマティック・シングルブランチ回路図)(ニューマティック回路図・ダブルブランチ
(1)吸気相
吸気圧はタービンT で生成される。このタービンは従量式調節呼吸モードでは、フローセンサFS を介して流量を制御する。従圧式調節呼吸では圧センサPSI を介して圧を制御する。吸気時には電磁弁V2 及びV3 がそれぞれ開閉する。これによって、タービン圧が呼気弁バルブのダイアフラム(シングル呼吸回路時)に、あるいはメンブレンM2ダブル呼吸回路時)に加えられる。結果的にタービンT によって送気されたガスが患者の肺に流れこむ。
(2)呼気相
呼気相では、PEEP制御用プロポーショナル電磁弁V2 が開き、ダイアフラムあるいはメンブレンM2を減圧し、圧センサPS1を介して呼気圧を制御する。同時に、タービンTはフローセンサFSを使って5LPMのflow-byが得られるように流量を制御する。このフローはメンブレンあるいはバルーンに供給され、PEEPが維持され、再呼吸が防止される。このフローはまた吸気要求を迅速に検出する機能も提供する。
4.操作(図;Monnal T50の操作パネル図;設定画面1図;設定画面2図;無呼吸バックアップ設定図分時換気量とFiO2の関係
 電源を入れるとオートテストに入り10秒未満後にスタンバイモードに入る。その後に院内モード・在宅モードを左上のアイコンを押して選択する。スタンバイ画面で新規患者か既存設定を選択し、アラーム・パラメーターの設定などを行う。ちなみにモード名のsはsynchronizedの意味で一般的にはA/Cの意味である。NIVではリークバルブのないマスクのみ使用可能である。低圧酸素源を入力すると酸素濃度を高めれる。酸素流量とFiO2の関係は図に示したとおりである。
5.モニター、アラーム機能(図;画面表示例1図;画面表示例2、)
 ダブルブランチ型の患者回路を使用時には呼気のフローを測定できる。呼気側のフローセンサーはホットワイヤー型である。一方、シングルブランチ型の患者回路を使用時には呼気の分時換気量を測定できない。アラーム機能には、一般的な、気道内圧上限、気道内圧下限、FiO2上限・下限、Vt上限・下限、吸気分時換気量上限・下限、呼気分時換気量上限・下限、呼吸回数上限・下限などがある。
6.患者回路  (図;患者回路シングルブランチ、 患者回路ダブルブランチ
 図に示した。
7.メンテナンス
 再使用型の呼気弁は50回ほど使用可能である。ディスポの呼気弁も用意されている。背面パネルフィルター、酸素モジュールフィルターは適宜点検、交換する。1年ごとに定期点検を受ける。
8.今後の課題
 NIVは可能であるがリークバルブ付きのマスクは使用できない。リーク補正機能もないので現実的には、通常の人工呼吸器にマスクを装着したのとあまり変わらない機能しかない。市場に出回っている多くのライバル機種に比べると、少しローテクで先進性を感じない。モードも従来の古典的なSIMV+PSの範疇でしかない。他社がAutoFlowやBIPAPなど先進的な機能を持たせている中で優位性をどう確保できるのであろうか?