CareFusion,Viasys
Infant Flow SiPAP
1.特徴(図;Infant Flow SiPAPの外観写真)
 nCPAP装置のパイオニアであるInfant Flow SiPAPはnasal CPAP,BiphasicとBiphasic trモードを提供する簡単ながら有益な装置である。
2.性能
 モード...............................nCPAP,Biphasic,Biphasic tr
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            Apnea(10-30sec.)
 
 
 吸気ガス流量...................0-15 LPM(0-5LPM:Biphasic)
 呼吸回数............................1-120BPM
 吸気時間............................0.1-3.0sec.
 PEEP...................................3-12 hPa
 重量....................................10 Kg
 消費電力............................AC100-230v 50VA max
 バッテリー作動時間........2時間
            
3.機構の概略(図;Infant Flow SiPAPの構造説明)
 高流量CPAP装置にトリガー機構を付加した構造で、フロージェネレーターはメカニカルな構造でシンプルに構成されている。トリガー機構やアラーム・モニター機構だけはマイクロプロセッサー制御である。ジェネレーター(図;ジェネレーターの構造)はコアンダ効果によって周囲のガスを吸い込んで結果的に吸気ガス流量と呼気ガス流量を増大させている(図;吸気時のコアンダ効果呼気時のコアンダ効果)。コアンダ効果を利用しているところにSiPAPの機構上の特色があり、結果的にCPAP性能を向上させている(図;Infant Flow SiPAPでの圧変動一般的なCPAPでの圧変動Infant Flow SiPAPと一般的なCPAPでのPVカーブの比較)。ちなみにダイソンの羽のない扇風機もコアンダ効果を利用している(図;ダイソンの扇風機の説明)。呼気ガスポートに先端が解放しているチューブが接続されているが、これはコアンダ効果でガスを吸引する際のリザーバーとして機能しているので、このチューブを外した状態で使用するとモニター表示されている値より酸素濃度が低下してしまう。
 
4.操作(図;Infant Flow SiPAPの操作パネル)
1)概略
 アナログのフローメーターとモニター画面を見ながらを流量つまみ調節してCPAP圧とPress High(BiPhasic圧)を設定する。その他の項目はカラー液晶タッチパネルを操作して設定する。
2)セットアップ画面(図;セットアップ画面
 CPAP圧、BiPhasic圧、酸素濃度、腹圧センサー(使用する場合に)の設定をガイドしてくれる。左より順に「?」マークが点滅するので「流量つまみ」で設定して「?」を触れて確定すると
「チェック」マークに変わり、次の「?」ボタンが点滅する。
3)アラーム画面(図;アラーム設定画面
 セットアップ画面が終了するとアラーム設定画面になる。NCPAPボタンを3秒間押すとNCPAPモードで開始し、モード選択画面になる。アラームは電源投入後2分経過すると自動設定される。必要があればマニュアル設定もできる。
4)モード選択画面(図;モード設定画面
 希望のモードを選択すると、利用可能なパラメータが表示される。格パラメーター項目ボタンを押すとパラメータ調節画面になり、増減ボタンを押して数値を入力しする。最後に黄色く反転しているモードボタンを押してモードを確定する。
5)メイン画面(図;メイン画面
 現在のモード・アラーム状況・バッテリー充電状況・モニターされたパラメータ・気道内圧波形などが表示されている。Change Screenを押すとパラメーター設定画面に戻れる(図;パラメーター設定画面)。
6)モード
 専用アクセサリーを使用してのnasal CPAPならびにnasalでのBiphasicだけが可能である。Biphasicは自発呼吸に同期しない。Biphasic trは自発呼吸に同期して高圧相になる。高圧から低圧(PEEP)への切り替えはTime cycleであり、自発呼吸に同期しない。
5.モニター、アラーム
 アラームは電源投入2分後に自動設定される。手動設定もできる。アラームには高優先度、中優先度、低優先度の3段階がある。供給ガス、高気道内圧(設定値より3cmH2O以上になった際)、低気道内圧(設定値より2cmH2O以下になった際)、気道内圧上限(nCPAPとBiphasicモードでは気道内圧が11cmH2O を超えた際に、Biphasic trモードで15cmH2Oを超えた際に高優先度のアラームが作動して気道内圧はゼロになる。3秒後に圧力は復旧するが、アラームの原因が解決されていない際には再びゼロに低下する)酸素濃度、バッテリー残量低下、バッテリー電圧低下、などが警報される(図;バッテリー異常時の画面)。
 気道内圧、酸素濃度、設定値気道内圧のグラフ、などが表示される。
6.患者回路(図;患者回路
 図に示したとおり。専用アクセサリー以外を使用しない。
7.メンテナンス
 使用前に酸素濃度の校正を行う。ガスインレットのウォータートラップは定期的に点検して水抜きを行う。1年ごとにバッテリー、各種フィルタなど交換。各部の校正・調節を行う。2年ごとにミキサーのオーバーホールをする。5年ごとにバルブ/センサー基盤の交換する。
8.欠点
1)アナログ機構が多い。そのために定期的な校正や調節が必要となっている。