Philips Respironics
BiPAP AVAPS
1.特徴(図;BiPAP AVAPSの外観写真:左側は本体、右側は一体型の加温加湿器) 
 BiPAP AVAPSとBiPAP S/Tは、自発呼吸がある体重30kg以上の成人と体重18kg以上の7歳以上の小児を対象とする小型軽量のNIV機である。わずか18x14x10cmとコンパクトである。両者の外観に相違はないが、BiPAP S/TはCPAP,S,S/Tモードのみである。BiPAP AVAPSにはさらにT,PCモードとAVAPS機能が可能である。AVAPS機能はS,ST,T,PCモードに付加することができて、呼気1回換気量が設定値になるように自動的にIPAP圧を調節してくれる機能である。専用の一体型加温加湿器を装着すると温度と加湿量もコントロールできる。
2.性能
 モード...............................CPAP,S,S/T,T,PC,
            +AVAPS
 一回換気量.......................200-1,500m
 吸気ガス流量...................?
 呼吸回数............................0-30BPM
 吸気時間............................0.5-3.0 sec.
 EPAP...................................4-25pH2O
 IPAP....................................4-25pH2O
 重量....................................1.36 Kg
 消費電力............................AC100-240v 2.1A , DC12v 5.0A
 バッテリー作動時間........内蔵していない
3.機構の概略  (図;BiPAP AVAPSのブロック図
 BiPAP機のニューマティックは極めて単純である。ブロアーの出力にフローセンサーと圧センサーがつながっただけである。たったこれだけの機構でNIVという革新的なジャンルが開幕したのである。初期の頃から現在に至るまで、BiPAPの基本構造に変化はない。BiPAPはボリュームトリガー方式でトリガー感度は6 mlである。リークがあっても適切にトリガーされるように、Shape SignalやAuto-Trak Sensitivity、Spontaneous Expiratory Threshold、リーク補正などの機能が搭載されている。これらの機能についてはTrilogy O2で詳細を解説しているのでこの項目を参照されたし。
4.操作(図;BiPAP AVAPSの操作パネル)
1)基本
 電源を接続するとメインメニューが表示される(図;メインメニュー)。ノブを回して項目間を移動する。選択している項目は反転表示される。ノブを押すと反転している項目が選択される。必要時にはノブを回して数値設定を行う。メインメニューでは、Therapyを選択してノブを押すと運転が開始する。ComfortはRise Time、RAMPやBi-Flexなど快適性に関わる設定である。Infoは情報画面、Setupは設定画面である。Setup画面には、ノブとランプボタンを同時に5秒以上押すと入れる。この状態が医療従事者モードですべてのSetup機能にフルアクセスできる。Backを押してメインメニューに戻ると医療従事者モードは解除される。
 
2)Setupメニュー構造(図;Setupメニュー構造
 設定項目は図に示した項目をスクロールしながら設定していく。液晶画面には4項目分しか同時表示できないので、上から下へとウィンドーをずらしながら設定していく。ちなみにFlex ControlやRise Time Controlは患者にこれらの調節を許可するか否かの設定で、yesを選択すると患者はこれらを調節できない。Provider modeは医療従事者モードを持続的にonする設定でBackを押してメインメニューに戻った際や、時間切れになってもユーザーモード(患者モード)に自動解除されない。
 
3)モードの説明
 Sモードは通常のPSVと同じ。自発呼吸に同期して吸気(IPAP)が開始し、自発呼吸の終了とともに吸気が終了する(EPAPになる)。S/Tモードは患者のトリガーがなくても最低換気回数を保障するモードで基本的にA/Cと同じである。ただし、機械が換気を開始した際にはTime cycleで吸気が終了する。Tモードでは機械が強制的に換気を開始し、Time cycleで吸気が終了する。つまりトリガーOFFの状態のPCVである。PCモードはA/C(PCV)であり、一般的なPCVと同じである。
4)AVAPS(図;AVAPSの説明
 AVAPSをyesにすると、設定呼気一回換気量に近づくようにIPAP圧を自動的に調節してくれる。これは他社でいうところのVSやPRVCに該当する機能である。CPAP以外のモードで付加できる。
4)RAMP(図:RAMPの説明
 BiPAP療法を開始した際に、急に高いIPAP/EPAPがマスクにかかり、患者が違和感を感じないように徐々に圧を経時的に上げて慣らしていく機能である。
5)Rise Time(図;Rise Timeの説明
 EPAPからIPAPへ圧が変化する速度を調節する機能である。相対的な数値で表示されている。1-6の範囲で設定できる。
6)患者回路(図;BiPAP AVAPSの患者回路
 図に示した。
5.モニター、アラーム
 気道内圧、リーク量、1回換気量、換気回数を表示できる。無呼吸、高圧、低圧、低分時換気量、低一回換気量、電力消失、患者回路のはずれ、のアラームが装備されている。
6.メンテナンス
 定期的に機能チェックを行う。また、フィルターの点検、交換を行う。定期的に保守点検をする。
7.欠点
1)初期のRespironics社のBiPAP機に比べると高機能になったが、その分だけ操作が複雑になった。せめてIPAPとEPAPくらい直接設定できないものだろうか。
2)ユーザーインターフェースがあまり良くない。液晶表示が小さい。小さなウィンドーを通じての設定なのでイライラする。
3)医療従事者モードへの入り方が単純なキーの組み合わせなので、市販のデジタル時計の設定などはこれに類似の方法であることから、解除方法が類推されやすい。アクセスコードとかパスワード入力の方が安心である。