あとがき
 
 今回も現時点に国内で購入可能な人工呼吸器(麻酔用以外)をすべて網羅しようと努力をしました。残念なことに、国内で販売されている機種が減少し、本のボリュームも少し少なくなってしまいました。これは人工呼吸器業界そのものが厳しい淘汰にさらされて、過去の名門ブランドですら存在しなくなっている現実が反映されています。国産人工呼吸器メーカーについても同じ事が言え、海外との競争に対抗できず消滅したメーカーもあります。医療事故が多発した背景により、薬事法が厳しくなり生産中止に追い込まれた機種も多数でました。
 
 以前は成人用の人工呼吸器と新生児のそれは完全に別物でしたが、技術の進歩により、境界がなくなりつつあるのが最近の傾向です。その恩恵か、成人用で開発された最新の呼吸モードも新生児に応用可能になってきました。圧換気によるボリュームリミットはその良い例です。前回の編集時点ではPTVはまだまだ先駆的でありましたが、今や標準となっている感触です。したがって多くの普通の新生児専用機が消滅しつつあります。特に中途半端な駆動力しかないHFO機は淘汰されつつありますが、強力な駆動力を持つHFO機だけは新生児用人工呼吸器として特異的存在価値があるようです。
 
 残念なことに成人用呼吸モードに関してはPAVの出現に比適するような革命的な進歩がありませんでした。しかしながらPRVCに始まった量換気と圧換気の融合の流れは進み、BIPAPシステムによるAutoFlowとかASVとかAutomodeと組み合わさり、これは人工呼吸の標準モードとなりつつあります。一方、古典的SIMVのように量換気と圧換気を時間軸で混ぜて妥協させるような不自然なやり方は、そろそろ時代遅れな換気モードになりつつあり、SIMV全盛期は終演に向かっています。
 
 本書の今後の展望ですが、今後は本とインターネットとコラボレーションを進めていきます。これらは競合関係にあるのではなく、協調的に発展していくという確信をもっています。情報の最新性ではインターネットが勝りますが、本には独自の優位性があるのも否定できない事実です。今後は本書もネットと本の2本立ての柱で運用していきます。本書のために以下のURLを用意しました。ご活用頂けると幸いです。
 
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