Puritan Bennett
LP10
1.特徴(図;LP10の外観写真)
 LP10は古くより存在するモデルでありながら、信頼性が高くメンテナンスが容易なため、現在でも移動用・在宅用人工呼吸器として高く評価されている。LP10はもともとAequitron社製であったがM/AによりNellcor Puritan Bennett社製になり、現在はTyco Healthcareグループ内のPuritan Bennett社製として生産されている。構造はライバル機のPLV-100やcompanion 2801と類似で、電動モーターでピストンを駆動する構造をMPUによって制御している。オプションの追加で酸素を添加できる。内部バッテリーだけでなく、外部バッテリーによる駆動が可能である。LP6 plusと LP10は外観も含めてほとんど同じであるが、LP10には圧リリーフ弁が装備されているのが差違である。国内販売はTyco Healthcareグループの製品ではあるが、IMIが継続しておこなっている。
2.性能
 モード...............................Pressure cycle, Assist/Control, SIMV
 一回換気量.......................100〜2200ml
 吸気時間............................0.5〜5.5 sec. (流量.....20〜100LPM)
 呼吸回数............................1〜38BPM
 バッテリー作動時間........1時間
 重量.....................................15.5 Kg
 消費電力.............................DC12V,72-36 W /hr 消費電力は設定により変動する。                75-80 amp hrsの外部バッテリーで20時間程度作動する。
            35-40 amp hrsの外部バッテリーで10時間程度作動する。
                                      
3.機構の概略(図;LP10のニューマティック回路)
 MPU(Z80A, 4MHz)により制御される電動モーターでピストンを駆動して吸気ガスを発生させる。LP10ではメカニカル式の圧リリーフ弁が設けられているので、余剰な圧を逃がすことができる。呼気弁駆動回路は、電磁弁(exhalation solenoid valve)によって、通常状態では大気圧に解放されているが、機械換気時には吸気ガス圧が接続されて呼気弁を閉じる。空気取り入れ口よりのガスは2つの一方向弁を経由して直接に患者回路の吸気側に供給されている。機械換気用のピストンはこの経路に並列に接続されているので、患者には2つの経路の内のより圧力の高い方のガスが供給される。そのためにSIMVモードでの自発呼吸用のガスのみならず、機械換気時に設定値を上回るディマンドがあっても、この機構により対応可能となる。しかし少ないとは言え、外気よりフィルターと一方向弁を経由して患者が吸気するのに若干の吸気抵抗は存在する。必要ならPEEPバルブも各種の仕様が用意されている。オプションで、酸素を空気取り入れ口に付加する機構も用意されている。付加する酸素流量と分時換気量により酸素濃度を計算できるが、最終的に吸気酸素濃度を実測して確定する。
4.操作(図;LP10の操作パネル)
1)電源
 使用している電源を確認する。AC電源、外部バッテリー、内部バッテリー、の順で優先される。一時的な使用以外は内部バッテリーに頼らない。バッテリー駆動時にはBattery Test ボタンでバッテリーレベルを適時チェックする。このときには気道圧メーターがバッテリーレベルを表示する。さらにBattery TestとAlarm Silent/Resetのボタンを同時に押せば作動時間も読みとれる。コンセントにつないでいれば、電源スイッチがONであれば、いづれのモードでも(Stand byを含む)内部・外部のバッテリーを充電している。
2)機器の点検
 点検リストに基づき、毎日、患者回路や機器の作動を確認する。
3)機器の設定
 呼吸モード、一回換気量、換気回数、吸気時間、トリガー感度、低圧アラーム、気道圧上限アラームを設定する。酸素を付加する際には酸素濃度を測定する。
5.アラーム
 設定矛盾、バッテリー電圧、低気道内圧、気道圧上限、機器故障、無呼吸、等のアラームが装備されている。
6.メンテナンス図;LP10の患者回路
1)患者回路や呼気弁は適時点検し、また、最低限週3回、できれば毎日、洗浄滅菌すること。期間は患者の状態や使用環境により異なる。
2)本体背面にあるエアーフィルターは少なくとも週に1回、移動用に使用している場合は毎日、洗浄する。
3)バッテリー保護のために使用していないときでもAC電源につないで充電しておく。月に一回はバッテリーレベルを点検する。 
4)月に一回はサービスによる点検を受けること。正規サービス以外が行った場合には保証やメンテナンスを受けられない。