PCV(Pressure Control Ventilation),A/C(Pressure) 
1.概念と目的 (図;PCVの波形
 PCVもPSVと同じくServo-900Cに始めて搭載された。PCVは、ディマンドフロー方式を新生児に対応するように考案されたのが原点である。 sCMVとPSVの中間的なモードである。吸気の開始と終了は前者に類似し、吸気中は一定圧で加圧されPSVに類似する。成人でも、圧障害(Baro-trauma)の合併が少なく、酸素化能を高める有用な換気法として、最近の人工呼吸器にはたいてい装備されている。
2.構成要素
 PCVは(1)吸気の開始(A/Cで開始される)、(2)吸気中の制御(PSVと同じ)、(3)吸気の終了(Time cycleで終了する)で構成されている。
3.制御方法
1)制御機構
 サーボバルブによる電子制御方式を用いた機種が主流である。過去にはCV-5000などディマンドバルブによるニューマティック制御方式を応用した機器が発売されていたこともある。
2)作動原理 
 Servo-i, Servo-300, New-Port e500, Vela, Avea、Evita等で利用可能である。これと異なるタイプのPCVは、Drager EvitaのBIPAPやPLV(Pressure Limitation Ventilation)を応用して実現できる。PCV類似の吸気圧パターンが得られる換気法として、定常流を圧逃がし弁でリリーフするTime cycle,Pressure relief(VIP Bird,Bear-5 etc.)や強制換気を圧リリーフするPressure Relief Ventilation(New-Port E-100,E-150)がある。ただし、これらはガス消費が多いため、主に新生児に使用される。
a)吸気の開始
 A/Cと同じ方式である。吸気の開始は、自発呼吸が設定呼吸数以上なら自発呼吸に同期し、設定呼吸数以下なら、設定呼吸数に基づきTime cycleで開始される。
b)吸気の立ち上げ方式
 これには、設定圧に向けて一気に吸気ガス流量を調整していく圧指標方式(Servo-900、Servo-300、Bear-1000、Benette 7200ae、Evita(BIPAP))と、設定圧になるまでは(強制換気の)吸気流量で供給していく流量指標方式(New Port E-200、Infant Star)が市販されている。最近では、(Servo-300, Bear-1000, Evita 2, Evita 4等の機種(圧指標方式)に)立ち上げ速度調整機能(slope control, rise time control)が用意されている。この場合、基準圧を経時的に上昇させることで実現しているが、例外的にBear-1000ではサーボループの時定数を調節している。
c)吸気中の制御
 吸気相は設定圧が維持されるようにサーボバルブで調整される。吸気相では自由な吸気が可能であるが、PCVでは呼気弁は異常高圧時で解放される圧(=100cmHOくらい)で閉じられているので、自由な呼気は許されない。しかしBIPAP機構によるPCVでは吸気圧で閉じられているので、加圧下ではあっても、自由な吸気と呼気が可能である。
d)吸気の終了
 PCVではTime cycleで終了する。
4.利点と欠点
 強制換気(Volume Control Ventilation)では最高気道内圧の異常な上昇による圧外傷が合併しやすいが、PCVでは同じ換気量がより低いピーク圧で供給されるのでその危険性は軽減する。このため、PCVによるIRVはPEEPと同等の酸素化能改善効果を持つ安全な換気法としても評価されている。一方、PCVは圧制御型換気法であるため、換気量が不確実という欠点を免れないのでグラフィックモニターによる換気量のチェックは必須である。